【NBA】 トロント移籍のブランドン・イングラムが古巣ファンにチクリ

イングラムは「トロントで一番印象的なのは、試合に勝っていようが負けていようが、毎試合アリーナの座席がすべて埋まっていることだ」と語った。続けて「ニューオーリンズではそれは決して当たり前じゃなかった。常に満員で、たとえ負けていても全員が愛情を示してくれるという環境ではなかった」と話している。

ペリカンズは3月までラプターズと対戦予定がなく、11日と27日に2度対戦する。27日の試合は、2月に移籍して以来イングラムが初めてニューオーリンズに戻る日となり、この発言を受けて地元ファンが冷たい反応を見せるかどうかが注目される。

Ingram was asked what’s stood out about Toronto so far: “The most impressive thing for me is seeing every seat in the arena filled up every single game, no matter winning or losing. That definitely wasn't there in New Orleans, having every seat filled and everybody showing love." pic.twitter.com/uNKMjdBHqd

— Josh Lewenberg (@JLew1050) September 29, 2025

あるファンは「トロントで人気選手になれば、国内規模のスターになれる。ビッグマネーを稼げるだけでなく、国全体の王様になれる」と強調していた。トロントやカナダ全体の盛り上がりを知る人たちは「アレハンドロ・カークが打った昨日のブルージェイズの試合でも街は電気が走ったような熱気だった」「ホセ・バティスタのバットフリップ（2015年のプレーオフでのバット投げ）の映像はいまだに何度も見返す」と語り、勝利時の一体感とエネルギーを思い出していた。

別の人は2019年のラプターズ優勝時の街の様子を振り返り、「友達と一緒にダウンタウンの通りを走り回り、車は完全に止まり、クラクションが鳴り響き、知らない人同士がハイタッチやハグを交わした。スポーツファンダムの力を実感した最高の夜だった」と興奮を語った。トロントを訪れたいという声もあり、「多文化的で食文化も豊かだと聞く」と観光地としての魅力を語る人もいた。

一方で「トロントは多文化と言われるが、他の大都市と比べて特別かどうかは疑問」と冷静な意見もあった。だが多くの人は「それでも食の多様性や国全体の注目度は大きな魅力」と認めていた。また「ラプターズやブルージェイズで活躍すれば全国的なCMに出られる。グレイディ・ディックですらナショナルCMを持っている。CJ・マイルズでさえGoDaddyのCMをやっていた」と、スターになれば国民的な知名度を得られると語る声も目立った。

カワイ・レナードの過去の決断を惜しむ意見も多く、「もし彼が残っていればブランド価値だけで億万長者になれたのに」「もっと深呼吸して残留を考えるべきだった」との声があがった。ラプターズのフロントオフィス（経営陣）がカワイをトレードで獲得した一発勝負を称賛する人もいて、「あのマルク・ガソル獲得の決断がなければ優勝はなかった」と振り返っていた。

カナダ全土でのラプターズ人気については意見が割れている。多くは「国を挙げてのファンベースがある。西から東まで支持は広がっている」と語るが、「アイスホッケーのように全員が一体になるわけではない。オイルズのプレーオフのように応援しないカナダ人もいる」と冷めた見方もあった。バンクーバー出身者からは「昔はソニックスやグリズリーズを応援していたが、今は若い世代を中心にラプターズファンが増えている」という証言もあった。

また、ニューオーリンズ側の事情を説明する声もある。「ペリカンズの試合は10ドルで観られてTシャツやジャージももらえた。だが街の関心はセインツ（NFL）に圧倒的に向いている」「LSU（ルイジアナ州立大学）のフットボールは1950年代から強豪で、スタジアムもスーパードームより2万人多い」「LSU野球もタイトルを何度も取っていて人気だ」と、バスケットボールよりアメフトや野球に文化的な軸があることが語られていた。ペリカンズが一度も長期的に成功を続けられないことや、度重なるケガによるシーズン崩壊、フランチャイズの低迷も指摘され、「もしNBAで移転が起こるならペリカンズかもしれない」という厳しい声もあった。

全体的に、トロントの熱狂と全国的な注目度をうらやむ声が多く、「ペリカンズにはまだ根付いた文化がない」との指摘が目立った。一方でニューオーリンズのファンは「何年も低迷していれば仕方ない」と諦め混じりに語り、地域文化の違いを理解している様子がうかがえた。