【バスケ】 東芝など強豪バスケ統合リーグ参加見送り危機 川淵“Ｊ流剛腕”　奥の手あるか　

　日本協会の改革を託された川淵三郎氏の主導で来年１０月に開幕する男子新リーグが３日、都内で設立記念セレモニーを行い、入会受け付けを行った。
統合されるナショナルリーグ（ＮＢＬ）とＴＫｂｊリーグの２４チームが申請したが、新リーグでも中核となるはずのＮＢＬの東芝、日立、トヨタ、アイシンといった企業の強豪チームは申請しなかった。
　新リーグはプロが原則で、東芝のように選手のほとんどが社員のチームは、プロ化のために新たに子会社をつくるなど社内的に煩雑な手続きが必要となる。
「東芝という会社に入りたくて入ってきた選手に、いまさら『プロになれ』などといえないだろう。もともと企業として、プロで金もうけしようという理念はない」と関係者はいう。
　１９９３年のサッカーＪリーグ発足の際、当時社会人の強豪だった東芝も川淵氏から声がかかった。
「この話には乗っからないと、えらいシッペ返しがきそうだ」と次から次へと各企業が連鎖反応的にＪ参入の名乗りを上げる中、東芝だけは頑として拒み続けた。サッカーがＮＯだったのに、バスケットはＯＫとはいかないだろう。

最終的に４２チームの参加を見込んでいる新リーグでは、１部のチームには収容５０００人のホームアリーナ確保や、年間収入２億５０００万円を求めている。
２部もそれぞれ３０００人規模、１億円以上とハードルは高く、クリアできない場合はアマチュアも参加できる３部へ回る。
　「サッカーの手法そのままで、あれもやれ、これもやれの一方通行のオンパレード。大体、新リーグを運営する社団法人の事業計画など何も知らされていない。
これでは企業チームは会社側に提出する稟議書も書けない」と関係者は言う。申請期限は今月末だが、企業チームは参加を見送る可能性が大きいという。

　国際大会出場停止などの処分を科した国際連盟（ＦＩＢＡ）は、世界選手権をサッカー並みの規模のＷ杯に衣替えし収益アップを目指している。日本も大きな市場として「金銭面でのパートナーになってほしい」というのが本音らしい。
　そのためにも大手企業チームは新リーグに不可欠なのだが「プロより天皇杯獲得」と新リーグには背を向け、実業団リーグにいってしまう可能性もあるようだ。

　川淵氏はバスケットの改革を手土産に、この秋発足するスポーツ庁初代長官の座に就く可能性も取り沙汰されている。
企業チームに逃げられては面目丸潰れになる。難しい最終局面を迎えて、どんな手を打つか。見ものだ。　（作家・神谷光男）